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オペアンプの歴史から製品型番やメーカーの相関図をご案内します

ちょっと難しいところもあるかもしれませんがわかりやすく書きました

オペアンプがICになって40年、今や電子機器のアナログ処理回路の主流になっています。オーディオでも早くから使われてきましたが最近では半導体プロセス技術や回路技術の進展によりハイエンドオーディオの要求に十分こたえられるものが多くあります。 デジタル技術が広まれば広まるほどその入力出力部のアナログ技術の重要性が注目されてきました。 今後もさらに開発が進むことでしょう。

IC前

1953年、世界初のオペアンプは真空管12AX7

第2次世界大戦の8年後、アメリカのGAPリサーチ社が発表しました。 真空管の12AX7を2本使っています。 8ピンのモジュール式になっていて差し替え可能。 +と-の入力があって出力はひとつ、電源は正負量電源です。 まさに今のICオペアンプとほとんど同じ構成です。 

K2-Wという型番で当時$20ドルだったそうです用途はアナログコンピューター。

これでオーディオアンプを作ったらどんな音になるのでしょうか?

1961年 ソリッドステート式

半導体の時代になりました、でもまだトランジスタを組み合わせたハイブリッドモジュールです。 PP-65
これもGAPリサーチ社、 電源電圧は+-15V、差動入力とコンプリメンタリのエミッタフォロワー出力、今と同じですね。 これでオペアンプがひとつの完成された部品としての認識が確立し性能や使いやすさがひろがったたそうです。 アナログデバイセス社やバーブラウン社もこのころ設立されて同じようなモジュールを開発したそうです。

このころからコンピュータはデジタル式になってきましたのでオペアンプは計測器、通信機に使われました。

1968年 ICオペアンプの始祖

フェアチャイルド社より発表されたuA741(ミューエーナナヨンイチ)は位相補正用のコンデンサーをIC内部に内蔵しとても使いやすくなって世界の標準の地位を確立しました。 これでオペアンプは一気にすべての電子機器に広まっていったそうです。

これをきっかけにテキサスインスツルメンツ、ナショナルセミコンダクタ、レイセオン、シグネティっクス、モトローラ、NEC、三菱、日立などがオペアンプをどんどん発展させていきます。いまでもオペアンプの勉強のときにはこれを実験に使っていました。まだ入手可能です。 写真はSTマイクロ社

1970年中、 オーディオ専用オペアンプの元祖

レイセオン社が発表したオーディオに特化したオペアンプRC4558です。 2回路入りで ノイズやひずみ率に注目して改善。 このころからオペアンプにも用途別に種類が分類されてきました。高精度、高速、高出力、単電源、低価格汎用、などの目的に応じて開発が進んできました。

このRC4558は大ヒットしまして各社からおなじセカンドソースが続々と出てきました、いわゆるコピーです。日本のJRC社もJRC4558という型番です、1980-1990年代のCDプレーヤはほとんどこれを使ってます。 またギターエフェクターもこれで発展しました。JRC社はこれを発展させてNJM4560,NJM4580を開発しました。

1980年前半 オーディオ専用オペアンプの本家
さらに改良されて性能が上がりました


シグネティクス社が発表したNE5532です。さらにノイズとひずみ率を改善、600Ωの負荷にも耐えられる、電源電圧範囲を+-20Vにひろげ,周波数特性を10MHzまでにしました。 1回路入りはNE5534。 今でも現役の定番として活躍しています

現在LME49860,NJM2114などは全部これをもとに発展しています。まさにオーディオオペアンプの本家本元。

1970年後半 FET入力の元締め

ナショナルセミコンダクタ社が開発したLF356です。 FETをバイポーラトランジスタのと一緒に作るのが難しかったのですが半導体プロセス技術の発展で可能になりました。 入力インピーダンスが桁ちがいに高く、入力バイアス電流も小さいのでセンサーや測定機で大いに歓迎されました。

テキサスインスツルメンツ社はこれを改良してTL072シリーズを発表、一躍FETオペアンプはオーディオでも注目されました

入力部に大入力が入ったときのIC保護用のダイオードが入っていないのが音にいい、という意見もあって隠れたファンがいます。

OPA2604, OPA2134, AD711、AD820などのFET入力型はこれから発展してきました。


写真はメタルCAN型ですが普通のプラスティックDIP型もちろんあります。メタルCANは密閉性がよく熱の放出もいいので高信頼性部品として今でも人工衛星などの用途に使われています。足のリード線が金メッキのものもあります。高いー!
   
1990年頭、誘電体分離プロセスを使った最高峰

バーブラウン社のOPA627です。 昔のバイポーラプロセスはNPNトランジスタが作りやすいですがPNPは性能のよいものができません。 これはICの基盤がPチャンネルのためNPNは縦につくれますがPNPは横になってしまい周波数特性などがそろえられないということが原因です。よって回路技術を駆使してNPNとPNPのコンプリメンタリを作っています。これがICのボトルネックになっていていまだにトランジスタを組み合わせたディスクリート型のほうがいいという主張の根拠にもなっています

しかしこの誘電体分離プロセスは各素子の分離がシリコン酸化膜ででき、NPNもPNPも同じように縦につくれて、特性もそろえられ、今までの問題を解決しました。価格が高いのが難点で、これをオーディオに使うのはかなりもったいないですが音は他とは一線を画すものがあります。







型番のみかた
各メーカでだいたい同じですが細かいところが違います

  OPA627AP
  
 OPA........バーブラウン社のファミリー名(現TI社の傘下)
     627.........型番
     A..............バージョン名、Aは選別品もしくは改良品、Bはさらに選別改良
     P..............パッケージの種類 
(8ピンデュアルインライン型) 




                     
        TO-99 (LMC)       PDIP (P)                SOIC (D)
        メタルCAN      プラスティックデュアルインライン     スモールアウトライン           


   OPA627にはいろいろな種類があります、 上記の表の場合は

   NRND....................... Not Recommend for Newe Design,新規の開発には採用をお勧めしません、つまりそのうち製造中止
                になるという意味です
   ACTIVE................... 現在生産供給中
   TO-99...................... 丸いメタルCANパッケージ
   LMC.......................... パッケージの寸法図面の番号
   8..................................... ピン数
   20............................... ひとつの梱包の単位個数、この場合は20個入りの箱に入ってます
   Green(RoHS& Sb/Br) ....... RoHSの環境保全基準対応、鉛がゼロ、臭素やアンチモンは全体の重量の0.1%以下
   AU..................................リードピンの表面仕上げが100%金です
   CU NIPDAU..........リードピンの表面仕上げがが銅、ニッケル、パラジウム、金の合金です   
   N/Afor Pkg Type ...Moisture Sensitivity Level, つまり箱の梱包が防湿のためにアルミパックで密閉されていて、それを開けたら   
                 どれくらいの日数でどれくらい湿度を吸収するかというレベルです。 これはプリント基盤にはんだ付けするときに
                 リフローという高温の槽を通しますが、そのときIC内部に吸収した湿気が高温で膨張してパッケージにダメージ
                 を与えるので、アルミパックをあけたら湿度の管理をしてくださいという意味です。
                 このメタルCANやPDIPはこのリフローには対応していません。
   Level3-260C-168HR,...... SOICはLevel3-260C-168HRに対応、つまりリフロー半田つけの最高温度が摂氏260Cであれば
                 摂氏30C湿度60%の環境にて168時間まではアルミパックを開封して放置してよい。それ以上は危険ですので
                ICのなかに吸い込んだ湿気を出す、つまりべークしてから半田付けしてくださいという意味です。
                趣味で自作するひとには関係ありません。  
      
 

捺印シンボルのみかた
各メーカでだいたい同じですが細かいところが違います

  
LME49860NA
  LME........ナショナルセミコンダクタ社のファミリー名
   49860.....型番
   NA............パッケージの種類 (8ピンデュアルインライン型)

 
IC表面 
   
 N  はナショナルセミコンダクタ社のロゴマーク
 U  はウエファーチップの製造工場、一般には公開されていません
 Z   はパッケージングとテストの工場、公開されていませんがアジアのどこかの国です
 XY はパッケージングした年と週 (デートコード)
     71 は2007年1月、 86は2008年6月、10月からはA, 11月はB、12月はCです、 よって
     2009年11月は9Bです。 3桁ある場合もあってその時は週単位で管理します。
 TT は中のチップの製造管理番号、公開されていませんがロット不良があったときに調べられます
 NA はNS社の8ピンDIPパッケージの番号  

 SOパッケージは小さいので全部書ききれませんのでかなり簡略してます。

 さらにICチップになかに64桁から128桁くらいの管理コードを一つ一つ書きこんで製造履歴を
 とっている場合もありますますが、ここは外からは見れませんし、公開もしていません。  

 他のメーカはそれぞれ少しづつ違いますのでメーカサイトをご覧ください。

 また予告なしに変更される場合があるのでデータシートには普通は書きません。
 MS社だけはなぜか書いています。

 また





   ER82AB は Eはウエファーチップの工場のコード、Rはパッケージングの工場、2008年の2月製造

   ABはチップの製造管理ロット番号でしょう。

  
 裏にも書いてありますが不明です、おそらくプラスチックモールドの管型の管理番号でしょうか?












     リニアテクノロジー社のLT115の場合は 0845、3桁です、 おそらく 2008年第45週製造、つまり11月頭
 
  
     横向きの
03は製造工場のコードでしょう  裏にもパッケージングとテストの工場名が書いてあります
    
     CN8は8ピンDIPパッケージ  

ri

ri








      バーブラウン(TI)社の OPA627APの場合は 86W0J98

         2008年6月製造、Wはウエハーの工場、0J98は中のチップ管理番号とパッケージング管理でしょう

         パッケージングとテストの工場はICの書いてあります、MALAYSIAとかTHAILANDとかです。

         昔はJAPANもありましたが今はもうありません 

        
         この辺はナショナルセミコンダクタとは異なります