HOME----->アーカイブ


励磁電源(れいじでんげん) 2機種

むかし戦前にはフィールドスピーカというものがありました。
スピーカの永久磁石が作れなくてその代りに電磁石にしたものです。電気蓄音器やハモンドオルガンに使われていたそうです。

今でもビンテージマニアの間では大切に扱われていて、現代のスピーカにない魅力を持っています。

神奈川県のA様にその魅力を語っていただきました。

 ジェンセンのA12は暫定で80リットルの後面開放箱を使用しています。 フルレンジですが音は大変魅力的で、特に低音部コントラバスの独奏をきくと快感です。 コントラバス協奏曲をネットで3枚購入しました。 いずれもとても楽しめました。最大の特徴は音の振動が盛大にあります。 こんなに空気の振動〔楽器を連想する)がくることは他のスピ−カ−にはありません。意外にもバイオリンコンチェルトも充分です。これ1本では高音は少し足りないようですがバイオリンのヒラリ−ハ−ンのような最近の録音でも楽しめます。今後はツイータを1インチのドライバ−で追加してみようと考えています。 電源ありがとうございました。



このスピーカには電磁石用の電源が必要です。それを作ってほしいという依頼が あり挑戦しました。

フィールドスピーカの電源は種類によって50Vから100VのDCが必要で、電流も60mAから220mAと幅が広いです。
それを全部1台の電源装置でステレオでカバーできるというのが依頼でしたが試行錯誤を重ねた末それは無理であるということが
わかり2台に分けました。

各種スピーカの電源スペックです。

                                              ------ Single-------        -----Stereo--------

Speaker              Coil         Voltage   Current    Wattage      Current   Wattage    

---------------- ---------  --------   ---------  --------   -----------  --------

RFT           1200Ω         84V        71mA       5.9W           142mA     11.8W   ドイツ20cm系    

ザクセンブルグ  1400Ω        90V       67mA         6W           134mA      12W   ドイツ20cm系

グラーツ          950Ω         76V         80mA         6W           160mA      12W    ドイツ20cm系  
ジェンセンA12   250Ω         55V        220mA       12W           440mA      24W   アメリカ30cm


      

  ジェンセン A12 30cmフルレンジ          これはテレフンケン20cm ベークライトの蝶ダンパーが見えます

その壱 75V-95V 可変 最大200mA (ドイツの20cmスピーカ専用、福音電気、ONKYOなども可)

   







  
  シリコンダイオードによる整流ののちチョークトランスで平滑し、それを50W 1KΩの可変抵抗
 で電圧を調整します。 最初はLM317で電圧を可変することを試みましたが、数々の実験の結果
 これは壊れやすいことがわかりました。
 
 フィールドコイルからの逆起電力、接続ケーブルのインダクタンスによるサージ、LM317のIN−OUT
 の電圧差の絶対最定格のマージンが少ない、出力をショートしたときの保護、それをOPENに戻した
 瞬間のサージ、電源ON時の問題、過電流時の温度とIN−OUTマージンなどかぞえればいくらでも壊
 れる要因がありました。耐久実験では約20個のLM317をこわしました。電流容量の大きいLM338,
 LM350も試しましたがLM317が最も丈夫で安定動作でしたがそれでも最後は諦めました。

 可変抵抗器は電力を消費しますがこれが最も安全確実で故障の少ない方法であるという結論に至り
 ました。 20cm系はステレオでもmax160mAですのでそれほど熱くなりません
 






その弐  55V固定 最大600mA ( ジェンセン A12専用)




 ジェンセンのA12は30cmあって 55V 220mA必要です、ステレオでは500mAになります。
 上記のドイツ20cmにくらべて倍以上の容量が必要になり、これをチョークコイルでつくるとかなり
 大型になりますしコストもかかりますのでLM317による平滑回路を採用しました。
 リップルが多いとそのままハムとなって聞こえてきます。平滑回路は必ず必要です。
 
 電圧は固定ですので可変型にくらべて壊れる可能性はぐっと低くなります。しかしサージには弱い
 ので各所に保護回路を入れました。逆起電力には強くケーブルをターミナルのところでつけたりはな
 したりして火花を飛ばしても壊れません。しかしショートには弱いようですのショートさせないように注意
 が必要です。過電流j保護のためにヒューズを設けました、高速型のヒューズを入れましたが一瞬の出
 来事には効き目がないようです。LM317には出力保護回路が入っていますが定常的な過電流には効
 きますますが過渡的な出来事には弱いようです。
 








この2台は相模原のA様のところに嫁いでいきました


HOME----->アーカイブ